YAMAHA FG-251 リペア日記

YAMAHA FG-251 リペア日記

2023/03/01

 YAMAHA FG-251のネックリセットとリフレット、ナット&サドル交換です。

ネックリセットも4本目で少しずつスキルアップしています。

 

 現状はサドルを目一杯下げて12フレットで弦高3mm超えています。

この状態でも腰のある低音が良く出ているのでネックはこのままでフレット交換しようと思っていました。

でもね、このサドルではテンション掛かっていないし本来の音は出ないだろうと思い、ネックリセットすることにしました。

 

指板の延長がブリッジにあたっています。

 

ボディトップの延長がネックの先でどのぐらいずれているか。

 

3mm元起しています。ボディトップの延長が指板の下の部分が理想ですね。

 

結構弾き込まれているようでフレットと指板が消耗しています。

 

ネックのリセット開始です。15フレットを外し2.5㎜の穴を2カ所開けます。

前回は3㎜の穴を1カ所開けていましたが、1カ所の穴だと送り込んだ高温スチームがボディ内部に出てきて水が溜まります。

2カ所開けることで高温スチームが、別の穴から抜けるので内部に水がたまらないのでボディには良いと思います。

2.5㎜だと後を埋めなくてもフレットで隠れます。

2㎜の穴をドリルの先で少し拡張してスチーム用の2㎜のパイプが何とか入るようにすれば抜け穴の方は2㎜で広げる必要はありません。

 

今回、ボディトップとネック指板の剥離にアイロンを使いました。

ギターボディが熱のダメージを受けないようにコルクボードにアルミ箔テープを張り保護しました。

 

アイロンで熱を加えますが、どのぐらい温めればいいのかわからないので、中温で20分ほど加熱しました。

直接アイロンが指板に触れるのもダメージを受けるかなと思い濡れウエスを当てました。

 

スムーズにパレットナイフが入っていきます。

 

ヤマハのピックガードは指板にピッタリ付いています。その為そこだけパレットナイフが入らないので少しトップ材が剥がれました。

濡れウエスがアイロンの熱で蒸気になりピックガードの先が白く変色しました。また、指板サイドの黒いドットマークとホワイトバインディングが熱で剥がれてしまいました。

ピックガードは細かいペーパーで変色した部分を取り、コンパウンドで磨きます。ドットマークの太さは爪楊枝がちょうど入ったので黒く塗りました。

アイロンでの加熱は低温でパレットナイフで様子を見ながらが良いですね。

また、コルクの保護シートの下にアルミ箔テープできちんと保護したほうが良いですね。

濡れたウエスは必要ないかもです。

 

養生して治具をセットし、高温スチームでネックを外します。

 

ピックガードの際が、指板にトップ材が少し剥がれてしまいました。

ヤマハのピックガードは剥がしてからパレットナイフを入れれば綺麗に剝がせます。

ネックヒール際は、薄い塗装はカッターで切れ込みだけ入れておけばスムーズに剥がれますが、

ポリウレタンの厚い塗膜は綺麗に剥がしておかないと高温スチームでも柔らかくならないし剥がれません。

ブラックラベル以前の物は塗装が薄いが、オレンジラベル以降はポリウレタン塗装で塗膜が厚いです。

 

ボディのネックポスト

 

ネックとボディを掃除した後、ネックヒールにセット角を付けます。

チョークを付けて当たっている所を少しずつ削りフィットさせます。

この個体のネックはやや1弦側に片寄っています。1弦側だけ薄いシムをかまして調整します。

削っては取り付けの繰り返しでフィットするまで3日かかりました。

 

ネックにセット角を付けるとボディトップと指板エンドで隙間ができます。

今までは、そのまま指板を張り付けて14フレットからへの字に曲がっていました。

今回は隙間を埋めるため杉板を張り指板が曲がらないようにしました。

 

いよいよネックの接着です。センターを出すために1弦と6弦を張り調整しました。

 

ネックが接着できるとリフレットにかかります。

JESCARなど市販のフレットはアールが付いていてカットされています。

ロクさんから頂いたフレットは真っすぐなのでフレットを指板のアールに合わせて曲げ加工します。

簡単に加工できる便利な工具があります。

 

他にもフレット加工用の便利なペンチや手作りのペンチなどロクさんが持っているのでお借りしました。

ロクさんの所、何でもそろっています。

 

指板サイドにセルバインディングが付いているのでその部分のタング部分をカット加工し20本揃えます。

 

15フレットの2カ所の穴はフレットで隠れます。

 

打ち込んだフレットをカットしていきます。

 

フレットエンドをHOSCO(ホスコ)のヤスリ(黄色いヤスリ)、フレット・クラウン・ファイルで丸く加工した後、精密ヤスリで仕上げます。

フレットのすり合わせの後でクラウンの形を整える際に使用するミディアムフレット用のHOSCO H-FF2は優れものです。

 

フレットが仕上がりました。まだすり合わせはしていません。

 

続いてナットの制作です。

 

サドルの制作です。トップが膨らんできても対応できるようにサドルは高めにしました。

 

自分でリペアをしていくと原因がわかってくるので細かな調整が自分でできるようになります。リペアも失敗しながら少しずつスキルアップしています。

組み上げ後はイメージと違う音でしたが、フレットのすり合わせ調整し、ナットの溝調整、サドルの高さ調整などすると良い音で鳴りだしました。

大きなリペア後なので、これから本来の鳴りをしてくれるでしょう。

 

正月にジャンクギターを2本手に入れてリペアで2か月遊べました。

その間ギターの練習がおろそかになっていたのでこれからギターの練習を頑張ろうと思います。

インスト曲なども練習してギターの弾き比べをYouTubeにアップしてみたいと思っています。